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 第7回  本当に換えなきゃいけないの??
「オイルは車の血液」なんて例えがあります。健康な人体は、体中の浄化装置の働きで血液を換えなくてもいいようになっています。でも自動車はそうはいかないので「血液」であるオイルを交換します。エンジンオイルは交換しますよね。では他のオイルは??
今回は縁の下の力持ち「A.T.F」についてお話しましょう。
「A.T.F」・・・オートマチック トランスミッション フルード(automatic transmission fluid)の略です。読んで字のごとく「オートマチック トランスミッション(自動変速機)」に使うオイルです。現在、街中を走行している自家用車の90%以上がオートマチック車。オートマチックは大きく2種類に分けることができます。A/T(オートマチック トランスミッション※注1:従来からのオートマチック)とC.V.T(無段変速 Continuously Variable Transmission)です。この2つは内部機構が違っており、現在はC.V.T用に専用オイルも登場しています(改めてお話しましょう)。今後はC.V.Tに移行していくようですが、今しばらくはこの2種類のオートマチック車が走る状況なのでしょう。
A.T.Fの働きについて、皆さんはどれくらいご存知ですか?
A.T.Fはエンジンからミッション部分への動力伝達や潤滑を受け持つオイルです。
A/Tは油圧作動油(=ATF)で動かしています。
アクセルを踏んだらスムーズに加速するのはATFがミッション内部でクラッチを張り付かせたり、コントロールニットを動かしたりといった働きをしているからです。
他にも軸受けやギアが滑らかに回転できるように潤滑の役目や、内部を一定温度に冷却する役目など大きな役割を果たしています。シフトチェンジなどのショックが少ないのは、A.T.Fが動力伝達の際、クッションの役目をしてショックが減る為です。機械的に動力伝達をするマニュアルミッション(クラッチ付)との大きな違いです。
A.T.Fは、燃焼室などを潤滑するエンジンオイルのように燃焼することはありません。「じゃぁ換えなくって大丈夫じゃないの?」そうおっしゃる方もいらっしゃるようですが・・・
20年位前。SS店頭でのA.T.F交換が盛んになりました。A.T.Fチェンジャーが普及したことが大きな要因だと思われます。このとき、一つの大きな波がありました。「A.T.Fを交換したら調子が悪くなった」という事象が多発したのです。それまで「A.T.Fは無交換」が常識でした。エンジンオイルのお話をしたときに触れましたが、オイルは汚れます。A.T.Fも潤滑を行い高温にさらされ汚れていきます。当時は「無交換」が常識でしたから5万キロ以上も走行したA.T.Fは「ごく普通」。当然、長い間の使用で金属粉やスラッジが溜まっていました。その汚れを新しいオイルが洗浄作用ではがし、はがれた汚れがA/T内のオイルストレーナー(ろ過装置)でろ過され、多量の汚れでストレーナーが目詰まりし、繊細なA/Tのオイルラインを塞いでしまい、制御に必要な量のオイルが供給されなくなったのです。結果、「A.T.Fを換えると車の調子が悪くなる」という間違った常識がささやかれるようになったのです。現在は「5万キロ以上無交換のA.T.Fは安易に交換しない」ことが常識となっています。交換することで故障を誘引してしまうことがわかったからです(使用状況にもよりますので、5万キロ以上無交換の場合、専門工場などへの相談をおすすめします)。
ではA.T.Fはどれくらいの頻度で交換するのがよいのでしょうか?「2年若しくは2万キロの早い方」を目安にします。メーカーでは3万キロから5万キロというところもありますが、早めの交換が安心ですね。
オイルですからA.T.Fにも規格があります。
ところが・・・現状、エンジンオイルのように国際基準といえる規格が存在しません。
DEXRON(デクスロン)やMARCON(マーコン)という規格がありますが、これはそれぞれ 米GM社と 米FORD社の規定です。A.T.Fの機構が要求する性能をオイルが追いかけた・・・そんな感じでしょうか。日本にはJASOという規格が存在します。
調べてみるとDEXRONとMARCONは、現在ほぼ同規格となっているようで、両方の規格を満たすオイルも増えているようです。先ほども言いましたが、A/Tは精密機械です。指定された規格を満たさないものを使用すると、乗り心地が悪くなったり、加速や燃費が落ちたりします。また、故障の原因になることも考えられます。交換の際はお店の方によく相談してください。
「オイルは使い切る前に換える」これが大切です。
オイルに余力(性能)があるうちに交換することが、車を快適に保つ秘訣です。清浄分散性能や潤滑性能など「目に見えないから」早めに交換です。
入っているから大丈夫・・・。危ないですよ。交換の費用より修理の費用の方が、はるかにかかります。時間や手間・・・見えないコストも・・・
判らないことや疑問をSSでお話しませんか?きっと糸口が見つけられます。
宇佐美はお客様のパートナーです。
注1 従来のオートマチックトランスミッション
トルクコンバーターと変速機、その他の部品で構成される自動変速機。トルクコンバーターという部品名を縮め「トルコン」と称されることがある。A.T.Fはこのトルクコンバーターの中で「流体継ぎ手」として使われ、ミッション内では変速を制御、冷却、潤滑と多くの役目を担う。
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